【事務局より】市民による「海洋文化遺産の保護と活用に関する提言」発表!海洋文化遺産プロジェクトシンポジウム開催(アーカイブ)
- 海洋文化遺産プロジェクト事務局
- 10月29日
- 読了時間: 4分

このプロジェクトは、古来の人々が渡来した背景も考察するために、海流、気候、陸地の影響なども考慮し、海洋文化遺産、すなわち「知のタイムカプセル」を再解釈して現代に甦らせ、未来世代に繋いでゆくことを目的としています。その手始めとして、瀬戸内海を「一つの海」として捉え、2024年4月に神戸市、兵庫県、大阪府、和歌山県、岡山県、広島県、山口県、香川県、徳島県、愛媛県、福岡県、大分県といった瀬戸内海沿岸、12の地方自治体から公募を開始、同年9月にはその公募に応じた市民それぞれ5名を選出し、市民科学の観点をもちながら、年齢、性別、バックグラウンドも違う中、専門家に敷かれたレールの上を研究するのではなく、市民自らが模索しテーマを決めて調査を続けてきました。
神戸大学 海洋文化遺産プロジェクト・シンポジウム
ー瀬戸内における海洋文化遺産と市民科学・12チーム、現場からの報告ー
<日時>
令和7年9月13日(土)
<会場>
神戸大学・深江キャンパス 総合学術交流棟・梅木Yホール
今回のシンポジウムでは、市民自らの足で郷土史資料室や図書館、博物館などを活用し、専門家の意見を交えながら研究し、海と住民の関係や伝承などを紐解き走り抜けたこの1年の成果を発表します。また、発表の最後には今回携わった「海洋文化遺産プロジェクト参加者有志」の皆さんから、「海洋文化遺産の保護と活用に関する提言」という形での発表もありました。ぜひそちらもご覧ください。





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「海洋文化遺産の保護と活用に関する提言」
海洋文化遺産プロジェクト参加者有志
1. はじめに
私たちはこの一年間、「海洋文化遺産プロジェクト」に参加し、海洋文化遺産の調査や啓発活動に携わってまいりました。その活動を通じて、海と人との繋がりから育まれてきた文化の豊かさと、それらを保全することの重要性を肌で感じております。各地に眠る水中文化遺産や、それを取り巻く海洋文化遺産は、私たちが未来へと守り伝えていくべき、かけがえのない国民的資産です。
これらの遺産が持つ物語を未来へ継承するためには、私たち市民の熱意に加え、国および文化庁の皆様による強力なご支援が不可欠です。本プロジェクトの経験から、市民と行政が緊密に連携することの重要性を強く認識いたしました。日本の豊かな海を守り、その価値を未来へ伝えるため、皆様との連携を心より願う次第です。
ここに、私たちの総意として以下の通り提言いたします。
2. 提言内容
一、 市民科学における倫理憲章の遵守
市民科学の活動を推進するにあたり、私たちは、参加者相互の人格を尊重し、思いやりをもって行動することを基本理念とします。
一、 専門家と市民の協働による「市民科学」の推進
水中遺跡の調査・保護において、専門家と市民が協力する「市民科学」の取り組みを積極的に推進します。これにより、専門的知見と市民の多様な視点を融合させ、知識の共有と連携体制の強化を図ります。
一、 次世代への教育と国民的理解の醸成
次代を担う子供たち、そして広く国民に対し、各地域に存在する水中遺跡が、日本のみならず世界にとっても価値ある遺産であることを伝えていきます。
一、 水中考古学研究の中核となる国立機関の設置
我が国の水中文化遺産を恒久的に調査・研究・保存・活用するため、水中考古学を専門とする「国立水中考古学博物館(仮称)」の設立を強く求めます。また、各地域の特性に応じたきめ細やかな調査研究を可能とするため、地方出先機関として「水中文化遺産研究センター」の設置も併せて要望いたします。
一、 ユネスコ「水中文化遺産保護条約」批准に向けた協力
日本国がユネスコの「2001年の水中文化遺産保護条約」を早期に批准できるよう、私たち市民も条約への理解を深め、国民的気運の醸成など、その準備に積極的に協力していく所存です。
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前半チームで活動された皆さん本当にお疲れ様でした!












