大分チーム こふみ
錨泊中の船は揺れる。大分チームのファシリテータが事前にアナウンスしており、旅のしおりにもお勧めの酔い止め薬が紹介されていたにもかかわらず、帆船「みらいへ」では船酔いで船上の講義を離脱した参加者が多数いたと聞いた。「はじめはなんともなかった」「夕食もおいしく食べたが急に船酔いした」「いつ酔い止めの薬を飲もうかなと思っていたら酔い始めた」と不意にやってくる船酔いに悩まされたようだ。

薬は秒で効くのだろうか。市販の酔い止めの薬の説明書きには「1日1回1カプセルで効く」「食前食後にかかわらず服用できる」「酔ってからでも効く」「乗り物酔い予防のためには乗船30分前に服用して」と書いてあるが果たして本当だろうか。実は秒で効く薬は詰まりかけた冠動脈を広げるなど秒で効く必要のある薬である。一般的には内服薬はpH1-2の胃を通過した後、肝臓を経由して効果を発揮するため、標的器官に到達するまでに時間を要する。
私はこのほど船(10t、全長11m、高さ16m)にのる機会を得た。幼少期はともかく、大人になってからは1度しか嘔吐したことがなく、嘔吐に強い恐怖感がある。絶対に船酔いで粗相したくないので迷わずドラッグストアで酔い止め薬を購入した。旅のしおりのお勧め市販薬は「A」であり、Xで検索してみても「A」を勧めるコメントをいくつか見たのでそれを購入した。4カプセル入り700円くらいだったと思う。以下は個人の見解である。

乗船1回目。午前7時半に食事。食後すぐに内服して、乗船は午前9時、食後すぐに内服したせいか、胃もたれを自覚した。なるほどこれが抗コリン作用か。消化管の動きを抑えてしまう。少なくとも食事が胃を通過した後に内服した方がいい。この日は凪だったこともあり、乗船中は酔わなかった。ただ陸に降りてから数時間後に「陸酔い」を自覚した。ただ揺れている感じがするだけで嘔気もなく、普通に食事ができた。朝食直後に内服して胃もたれしてしまったので90点。
乗船2回目。午前7時に食事、午前8時に内服。直後に猛烈な眠気と口喝を自覚。いずれも抗コリン作用である。深い眠りについてしまい危うく寝坊するかと思われたが、はっと目覚めて飛び起き、乗船時間には間に合った。静かな入り江から潮流の激しい海域に出たが酔うことはなく、快適だった。下船後の陸酔いもなし。100点。

あくまで個人の見解だが、内服する理想のタイミングは乗船30分以上前、かつ食後1-2時間なのではないだろうか。前日しっかり睡眠をとる、体調整える、日ごろから運動して平衡感覚を維持しておくなど予防が一番大事だとは思う。船酔いしなければもっと快適な帆船の旅ができたと思うので今後、船に乗る機会のある皆さまに宛てて一筆したためてみた。
※本レポートに関して開示すべきCOIはありません。

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