【大分チーム】第9回オンライン会議議事録、水中の戦争遺物とその探査準備、ビーチコーミングetc...
- 大分海洋文化遺産プロジェクト
- 5月27日
- 読了時間: 5分

2025.5.15(木)
参加者:安井翔、立花、スピカ、こふみ
担任:石原先生
欠席:しんかい(アルバイトの急なシフト変更のため)
中田先生(欠席理由は不詳)
時間20:00から20:55
議題:
①1か月間の活動報告
②次の活動予定
③質疑応答
④6月末別府集合について
①活動報告
【水中の戦争遺物とその探査準備】太平洋戦争時の人間魚雷回天や空母海鷹に関する遺品について引き続き文献調査や聞き取り、海中での捜索活動をしている。鎮魂のための回天神社慰霊祭(4月25日)に大分チーム4名が参加。「神戸大学水中考古学大分県チーム」として、多くの新聞社やテレビ局の前で献花をし、その日の昼と夕方のニュースで放送された。参列者やメディア等、色々な人に我々の活動を知ってもらうことにつながった。
その後、大神漁協の職員2人と、安井、スピカ、こふみ、しんかいの6名にて水中カメラにて港内の海底調査。モニターは色々な海洋生物や人工物の鮮明な映像が確認できたが、調査対象である太平洋戦争時代の探し物は見つからず。しかし、4名で海底探査の手法やどのように海底が見えるのかを共有することができた。また漁業協同組合の方達にも我々の探査手法を実際に見てもらい理解を得られたことは成果。

【ビーチコーミング】国東半島の奈多狩宿海岸(杵築市)で安井、スピカ、しんかい、こふみの4名でビーチコーミング、海岸清掃活動を実施。多くの陶器破片を収集、考古学専攻の大学生しんかいがシャベルの使い方を実演。またゴミ拾いを通して皆でプラスチックスマートについて考えることができた。




【大分県立歴史博物館】スピカ、立花が来訪。水中遺物について学芸員より説明を受けた。低湿地型の食物貯蔵穴から出土した網袋とイチイガシの実が杵築市の龍頭遺跡から出土したことに注目中。
【ビーチコーミングの表採資料と鑑定】県立埋蔵文化財センターに立花、しんかい、スピカが大分チームとして集めた陶器破片など数百点を持ち込み、学芸員に鑑定を依頼。江戸時代の「船徳利」「大阪新町お笹紅の紅椀」などいくつか特定をすることができた。磁器破片は明治、大正の印判物が多いが、紅皿は大阪のコスメ屋の流通圏として大分県杵築市も含まれることがうかがえ、貴重な手がかりとなったのは成果。


【古地図】福岡市内の碇石や、福岡市博物館の金印、日宋貿易磁器の見学と博物館学の勉強。北九州ゼンリンミュージアムでビーチコーミングを行った「奈多」の地名が残っている世界図を確認した(こふみ)
【オランダ船リーフデ号関連】リーフデ号献花式典(4月19日)に参加して今後の調査のための人脈づくり(スピカ、こふみ)。佐伯、大入島、唐泊地調査、佐伯市歴史資料館などを訪ね、リーフデ号の佐伯漂着説について聞き取り(安井)。リーフデ号の漂着地として佐伯説、臼杵説がある。先月は臼杵に行ったので、今回は佐伯に訪れ、学芸員さんからお話をうかがう。文献で事前予習をし、現地に行き、お話しを伺ったりするも、どちらも口伝レベルしかなく、決定打となるような“証拠”には繋がらなかった。
【海揚がりの戦争遺物】佐伯市平和祈念館やわらぎでは正体不明の海揚がり三枚翼のプロペラが野外に展示されている。それはサイズや構造からアメリカのハミルトン社製造の物であり、どの機体かの予測もついた。それは大神回天公園のプロペラを調べた過程で多くの知識を習得し、私自身も国際パイロットライセンスを持っていることが活かされた。今回のプロジェクトを通して日本各地には正体不明の海揚がりプロペラが多くあることを知ったので、これらをどうしていくか今後考えていきたい(安井)。
【ビーチコーミングからの水中考古学の先駆者】兵庫県たつの市室津でのビーチコーミングにて三万点の陶器破片を集められた方がおられるので、安井とこふみで訪れた。研究手法や資料など、手掛かりを得ることができた。今後我々の研究に活かしたいので、6月末の別府集合で今回の資料を持ち込み、9月の発表会に向けて皆で話し合いたい。
【今後の方向性】ビーチコーミングについては、鑑定済み物もあり分布図など今のまま研究を進め、北前船の貿易図なども踏まえストーリー性を考えていく。
6月、7月は今まで調べた文献、地元民からの聞込み調査などを活かし、実際に水中カメラ、音波測定器やダイビング機材一式装備したクルーザーにて別府湾海底調査などをする。調査手法や捜査設備、機械などのトライ&エラーは実験済み。船長は旅客船の国家資格保有、保険等も加入済みであり、マリーナ契約済。海底探査は潮流や風速など天候も考慮し安全第一とする。
日出町の特定済みプロペラは地方紙などに情報提供行う予定を詰めていく。
考古学は結果がでにくく、研究資金も自腹。経費はほとんどでない。研究には多くの時間と費用を要するため、心が折れそうになる。最終的に結果が伴うことができたら救われるが、成果が出ずに脱落する人も多いだろう。どうしたらモチベーションを保つことができるのかを、石原先生にお尋ねしました。
「自分の研究していることの仮説が証明できたとき、大きな喜びを得ることができる。地道に続けて行くしかない。」と、ありがたいお言葉を頂いた。くじけそうになっても継続は力と鼓舞をし、幸いなことに大分県は石原先生という頼りになる担任にも恵まれていますので、頑張って活動を続けていこうと思いました。

④6月末別府集合は午前中に陶器破片収集物等について話し合い、昼からは別府湾海底探査にあてる。
議事録担当:安井翔
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